「自分をどれだけより良く魅せるか」がファッションではない。
…とつくづく思います。
背伸びするための服
一時期、ファッション関連の仕事に就こうとしていました。それでプロのスタイリストさんが開催するセミナーを受けたこともあります。
そこではファッションは「自分」を売り込むための名刺であり、宣伝だ…と教えられて、私自身もどうしたら自分をより優秀で知的な人間に見せられるかを考えていました。
しかし、私はそれで逆に疲弊していたようです。
「こうあるべきだ」という理想像を掲げて、背伸びをする日々が続いていました。
それに気付かせてくれたきっかけはこの1冊。
『もう、服は買わない』
著:コートニー・カーヴァー
project333という、3ヶ月を33個のアイテム(小物・服・靴ぜんぶ合わせて)で過ごすというワードローブ整理法を紹介している本です。
服だけでなくアクセサリ、バッグ、靴まで合わせて33個と考えると、なかなかハードな気もします。
しかし、やってみると33ってのは絶妙な数で、別に問題なく暮らしていけるレベル。というか、クローゼット内の着ない服の多さにビビります。
そして、この本はproject333のノウハウの説明だけでなく、自分との向き合い方や過ごし方などマインドの部分についても書かれています。
これが自分を見直すきっかけになりました。
見た目は確かに大切
見た目や印象は生きていくうえで、特に人と関わるうえで、非常に大切になってきます。特に第一印象は後々まで影響する…なんて言われたら、気にしてしまいますよね。
そうすると見た目に直結する洋服も大切…なのですが、ここを過信してしまうと、負の方向への迷走が始まります。
私の場合、洋服(特に仕事服)は自信のない自分を覆う鎧だと思っていました。
自信がないから、それを隠すために鎧を身に付ける。だから仕事服の基準は「知的に見えること」。無意識に、知的に見えるとウワサのネイビーがメインカラーだったのは、そこが影響していたのでしょう…
そして一旦、洋服を「鎧」と思ってしまうと、何かネガティブなことが起こって自信喪失したときに、服に逃げるようになるんですよね。
憂さ晴らしで洋服を買うようになって、結局自分を見失うはめになります。
そんな感じで、洋服の力を過信してドツボにはまっていました。
しかし、現実では何を着ていたかというところよりも、人柄の方が大切で。キチンとした服を着て人に心を開かない私よりも、ドレスコードを無視したオシャレでオープンな性格の人の方がもてはやされていたのは事実。
長期的な付き合いでは、人柄で判断されることの方が大きいんですよね。
だからこそ、コーディネートの技術を上げるよりも、自分の内面を磨く方が大切になってきます。
仕事服を捨てて思ったこと
先日、仕事を辞めました。
社用携帯もPCもすべて返却、私物も全部持って帰ってきて、もう二度とあそこには行かないんだろうな…と。
…ということで暗~い思い出の詰まった仕事服はほとんど手放しました。
そこで思ったのは、必要以上に自分を優秀に見せることに必死だったなと。
そしてそれで疲れて爆発したなと。
この本でも、服ではなくありのままの自分に自信を持つことが大切だと書いてあります。
そう!服ってあくまでもサブであって主役ではないのです。主役は自分。
その主役さえ整っていれば何を着てもかっこよく、魅力的に見えるのです。
なので、「ありのままの自分」「等身大の自分」を理解して受け入れることがまず大切で、そこが定まれば自ずと着る服も選別できる……そういことなのかもしれませんね…
服を通して自分を
所詮、服もただの物でしかありません。
テレビ番組の変身企画とかで、洋服やメイクを変えていきなり垢抜ける人を見ると、「服にはパワーがある」と思ってしまいます。
しかし結局は、洋服が素敵に見えるのは、着ている人素敵だからです。
洋服と、着ている人の人格やオーラがマッチするから「素敵な人」になれるのです。
だからこそ、未来の理想像を先取りして背伸びして生きるのではなく、今の等身大の自分を受け入れて、それに合った服を選ぶ。
そして、経験を積んで自分の内面を成長させていく。
それが良いのかなと思っています。
内面が成長すれば、選ぶものや似合うものは変わってきます。
そうやっていると自然と「素敵」と言われる存在になれるのではないでしょうか。